ここでは教師の仕事についてのよもやま話をしましょう。気軽に読んでください。
退職した私に講師の話が
教員の人手不足が顕著になってきた昨今です。状況は日に日に悪化しているように感じますが、相変わらず文科省は無策、というか対策するふりだけの対策で誤魔化し続けています。
これでは教員の人手不足は解消されず、人手不足によって教員の仕事のブラック化は増々進むでしょう。
こんな状況ですから、退職した私に講師の話が舞い込んできたのは必然的なことでしょう。今回はそんな話です。
退職後は仕事をしないと決めた私
私は退職後は何もせず無職になりました。そういう教員は私の周囲では珍しく、私も過去に聞いたことがないです。再任用、講師、こども相談センター等の外部機関への勤務といった、何かしら教育関係の仕事を続ける人ばかりです。
最後の勤務校の校長から退職後の希望を聞かれましたが「いえ、のんびりします」と答えました。
振り返ると、子育ても家事も母や義母に頼って働いてきました。でも彼女たちも高齢です。私の子どもたちも結婚して孫が生まれました。赤ん坊が1人のうちはいいですが、2人目が生まれたら母親をサポートする人がいた方がよいことは経験上わかっています。
私の家族は私の助けが必要な状況になってきていると感じました。今こそこれまで支えてくれた家族に恩返しをするときです。
それに37年働いてきて、いい加減に解放されたい気分でした。毎日毎日早朝から夜まで働き旦那より帰宅は遅い(旦那は教員ではない)、土日もどちらかの日は必ず、場合によっては両方とも出勤していました。
お金を使う暇がないので貯金もそれなりにできました。自分なりにはやり切ったし、これ以上働く意味はないと思いました。
無職になってからの日々
無職になってから、これまでできなかった家事をせっせとやりました。栄養バランスを考えた食事を作り、押し入れや棚を整理し、気になっていた汚れを磨くなどしました。
でもやってみてわかりましたが、家族と暮らしていると整理整頓にも限界がありますね。あれもこれも捨てればいいのにと思いますが、家族にとっては捨ててほしくない物も多く、この辺で妥協しないと喧嘩になりそうだと思ったらそれ以上できません。
旅行をしたり遊んだりもしたいと思いましたが、家族も私も根っからの貧乏性なのでぱあっとお金を使って楽しむということができません。そのうち娘が2人目の子を産むと、ちょくちょく呼び出されて上の孫の面倒を見ることも増えました。
昔から少し考えていた、ブログを書くことをやってみたいと思い、準備を始めていました。私なりに忙しい(と言っても現役の頃と比べたら段違いに気楽でゆとりのある)日々を送っていました。
講師をやらないかという電話が……
そんなとき昔の同僚から電話がありました。教育委員会の人とか管理職の人ではないです。これってどの地域もそんな感じでしょうか。
そういえば私の最後の勤務校でも長期休みになった教員の補充がなかなか来ず、校長が職員に「誰か講師をやれそうな人を知らないか」と聞いていました。教育委員会に登録している講師がもういないということだと思います。
そんな現状ですから無職の私に白羽の矢が立つのも当然と言えば当然です。退職する3月に校長から「講師ならいくらでもあると思うから、気が変わったら言ってね」と言われたことも思い出しました。
電話口の元同僚は「ニーナ先生が来てくれたら本当に助かる」と言いました。でもね。もう私は戻れないです。私が家にいることに家族も私も慣れてしまいました。
講師と言ったって1日3時間授業をすればいい、みたいな働き方をさせてくれるとは思えません。下手したら給料は大幅に下がるのに、担任を持て、部活顧問を持てと言われかねません。
私は詳しく聞かずにその場で断りました。普通だったら「条件を聞いて家族と相談する」などするのでしょうけど、今の中学校の現状を考えたら家族に相談する余地もないと思いました。
元同僚が電話の向こうでムッとしている気もしましたがしかたがないです。その学校の生徒たちのことが少し気になりましたが、それはそっちで何とかできるでしょう。
というわけで私は専業主婦をしながらこうしてブログを書いているわけです。直接お助けしないのは心苦しいですが、私は今頑張っている先生方を尊敬していますし、これからもエールを送りたいと思います。
「教育ニーナ」という名前でXもやっていますので、良かったらそちらも見てください。
放課後の電話対応
先生の仕事を忙しくすることの1つに、放課後にかかってくる電話がありますね。ここではそんな電話についてのあるあると、対策についての話です。
勤務時間後も仕事をする先生たち
先生の勤務時間は遅くても17時(地域による)なので、それ以降は勤務時間外です。まあ、中学校だと部活下校が夏期は18時30分なんていう学校もあるようなので、そもそも滅茶苦茶ですが。
そして、部活生徒の下校を見届けてから明日の準備などを始めていたら、19時とか20時までかかってしまいます。全員がそうとは言いませんが、授業の空き時間だけでは明日の準備を終えられない先生は多いです。
早く退勤しても家で仕事をしたり早朝に出勤して仕事をしたりする先生もいます。そんなふうですから、放課後の職員室には複数の先生がいることが多いです。
放課後にかかってくる電話
先生がいるとわかっているからだと思いますが、18時過ぎてもよく電話がかかってきます。
生徒から「国語のノート提出が今日までだったのですが、今から持って行ってもいいですか?」今日までというのは今日の下校時刻までだろうが!と思いますが、親が車で送ってくれるなどと言うので受け取らざるを得なかったりもします。
生徒から「英語の教科書を置き忘れてしまいました。宿題ができないので取りに行ってもいいですか?」ある意味勉強熱心みたいに見えなくもないので断りにくいです。本当に熱心なら置き忘れたりしないでしょうけど。
地域の人から「おたくの生徒が車道にはみ出して歩いている。危ないので注意してほしい。」「おたくの生徒がどこそこの道端でいつまでも喋っている。時刻が遅いけど大丈夫か?」という電話が来ることもあります。
あなた大人なんだからあなたが注意してくれませんか?と内心思いますが「わかりました」と出動します。
保護者から「うちの子がまだ帰ってきません。もう学校を出たでしょうか?」という電話も3か月に1回くらいの割合であります。
この場合友達と話が弾んでしまって遅くなっている場合がほとんどですが、万が一のことがあるので、職員室にいる先生で手分けして、その子の友達の家に電話したり通学路を探したりします。
友達の家への問い合わせは本来親さんがするべきだと思います。ただ子どもの親同士のつながりがないと、電話番号もわからず問い合わせようがない、という現実もあるので気持ちはわかりますが。
万が一、家出とか犯罪に巻き込まれたということなら、先生たちが何とかできることではありません。それは警察に連絡してほしいです。
留守電での対応
最近は勤務時間以降は留守電にすると生徒、保護者に通知して、電話には出ないと決めた地域や学校も増えつつあると思います。良い取り組みです。
親さんが電話で話したい場合は勤務時間内にすると理解してもらえるといいです。短い電話だけの対応では済まない相談の場合は、放課後に担任から電話したり来校してもらったりして話す必要も出てくるとは思いますが。
留守電対応は当たり前になってほしいことですね。
親からのクレームへの対処
若い先生が一番焦るのは保護者からクレームが来たときかもしれません。そんなときの対処について書きます。
クレームの電話があったら
クレームの電話があったとき一番大切にしてほしいことは、落ち着いて話を聞き内容を掴むことです。親が電話してくるというのは、その人なりに悩んだ末のことです。その気持ちを理解することが第一です。
親の勘違いなら丁寧に説明して理解してもらいましょう。自分に落ち度があるなら謝りましょう。
子どもに問題があるならきちんと受け止めて、このように指導していきますと伝え、指導後には「このように指導しました。教えていただきありがとうございました。これからも気付いたことがあったら教えてください。」と伝えましょう。
とにかく丁寧で真摯な態度が大切です。そして学年主任には必ず「こういうクレームがあった」と報告します。(小学校だとまず生徒指導担当に言う等、自校の通例に従って報告しましょう。)
内容によっては学年主任が生徒指導担当や校長、教頭に伝え、上の誰かから対処の仕方についてのアドバイスがあるかもしれません。それもしっかり聞いて自分の対処の仕方に生かすようにします。
こうしなさいと指導があったなら、基本言われる通りにすれば大丈夫ですが、疑問があったら遠慮なく聞きましょう。
上の人の中には「あの親はよくクレームを言うんだよ。しょうがないな」みたいに言う人もいます。そうかあれが世に言うモンペか、などと親を見下してはいけません。
上の人は若い先生が落ち込まないように慰めの意味で言った、もしくは深く考えずに感じたことを言っただけです。親が言ってくることは謙虚に受け止め、誠意を尽くしてください。
結論を保留した方が良い内容
ただ、他の生徒、保護者、教師、部活のコーチ等、他の人が関わることや進路に関することは、その場で結論付けない方がいいです。その場合はすぐに「そうですか。わかりました」と言うのは避けて慎重に対応しましょう。
他の人が関わることや進路のことは、その親さんだけの一方的な見方を鵜呑みにしては駄目です。電話口で決めつけず「確認してご報告します」という方向に持っていきましょう。そして、他の先生たちと相談しながら対処してください。
最後に
自分が若い頃に「上の人への報告や相談をせず、一人で対処しようとしてしまう」という失敗がありました。経験を積むと、それがどれほど危険なことかわかってきたので、気を付けられるようになりました。
若いうちは、相談すると迷惑ではないかと感じるし、迷惑そうな顔をする人も実際いるので相談しづらく感じるかもしれませんが、面倒でも怒られても報告や相談はしてください。
ある程度経験を積んだ先生は、若い先生からの相談は嫌な顔せずに聞きましょう。自分の仕事が忙しいという言い訳は駄目です。若い先生の失敗で学校全体が影響を受ける事態も時として起こります。
最近は人間関係の不和やメンタルの不調で休職する先生が増えているようです。職場の環境を良くするための方策として、若い先生の相談に乗ることは先輩教師の仕事と心得たいものです。
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